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震災から100日までの記録
震災から1ヶ月が経って思うこと/震災から2ヶ月/四十九日・合同慰霊祭/この時間は無駄にはさせない!/「卒哭忌」/4ヶ月目は新たな気持ちで
~2011年12月までの記録
東日本大震災を乗り越える親子の記録/悔し涙/7ヶ月目の記録/義母が石巻に帰ってくる!/9回目の11日
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節目の記録
震災から100日までの記録


震災から1ヶ月が経ち思うこと

2011年4月10日

震災の記憶を子供達に残すか残さないか。
私はどんな形であれ、時間をかけてしっかりと残してあげたいと思っています。

2歳になりたての息子だって、亡き義父の写真を指差しながら「じっち!」と呼び微笑んで見せます。遊びに行く度にじっちと半分こしていた義父の大好物を写真を眺めながら頬張っているのです。生まれて間もない赤ん坊でも、記憶が薄れていくであろう子供でも、残せるか残せないかは親次第なのかもしれません私はそう直感しています。

明日で震災から1ヶ月が過ぎた事になります。
震災で大切な命や財産を目の前で失った被災地や被災者でなければ、例え親兄弟であっても、過去の出来事として何事もなく記憶が薄れていく、そんな時期になってきていると思います。


私自身は、いまだにあの恐怖が完全に消え去ったとは言い難い心境です。だからといって私は現実から目を逸らすわけにはいきません。たくさんの支援者さんと共に今できる事に精一杯夢中になって、自分自身と戦っていきたいと思います。


四十九日・合同慰霊祭

2011年4月28日

大震災から49日が過ぎました。
今日は義父の四十九日法要、お世話になっているお寺での合同慰霊祭でした。午後2時46分の黙祷にはじまり、犠牲になった方々の冥福と石巻の復興を祈りました。

「海は満ち引きをくり返すけれど、人は死んでしまえば戻ってはきません。どうか残された命を大切に、泥をかぶり、砂埃をあびて復旧に努めていきましょう。」

これはご住職さんが、慰霊祭の最後に語られた言葉です。
私は今まで、人が死ぬということを出来るだけ美化して受け止めてきたからなのでしょうか。一瞬だけ、厳し過ぎる言葉のように感じてしまいました。

でもすぐに、これが現実であることに気が付きました。人が死ぬという事をはじめて理解したように思ったのです。 亡くなった理由が単純になる程、辛くなります。大津波はあまりにも不条理な出来事でした。

残された私達は犠牲になった方々の思いを復興の日々に 託していかなければなりません。 慰霊祭が終わると、お寺のお坊さん達が全ての遺族にカレーライスを振舞ってくれました。子供達には袋いっぱいのお菓子を頂きました。 震災から50日、笑顔で、新たな一歩を踏み出します!


震災から2ヶ月

2011年5月11日

黙祷の合図が聞こえない、遠い避難先の窓際から、14時46分。
石巻の空に向かい、目を瞑りました。2ヶ月目のこの時間が来たら、亡くなった方々への想いと、私達家族の生活復旧を祈ろうと思い描いていたのですが、徐々にぎゅっと熱くなる瞼の裏には、あの時間、息子を抱き上げ必死になって娘が遊ぶ二階の部屋まで駆け上がる自分の姿が蘇っていました。

震災の前日につくった絵本と絵描き道具を集めた小部屋に娘は座り込んでいました。大きく横に揺さぶられ、「ママ…じしんだね、ゆれるね、とまらないね…」と、顔を強張らせ、声を震わせて言いました。私の顔を見れず、じっと一点を見つめていました。

物が壊れる音に気付いたのか、「ママ、なんだかみんな、こわれちゃってるかも」と、こんな時なのに、いつも私から「物を大切に扱え」と小言を言われていたせいか、「せっかくママが たいせつにしてきた おさらが こわれるなんて…」と、子供ながらに気晴らしの言葉をかけてくれたのでした。

そして地震がおさまり、津波の先端とまっすぐに走り出す人、3つ数える間もなく浮かび上がる車、この光景が重くのし掛かってきました。 あの不気味な重低音と、張り詰める緊迫感で、私は目を開けられなくなっていました。

「まま~3時のおやつの時間、過ぎてるよ~」と、娘に声をかけられ目を開きました。すると、すぐ目の前で子供達が部屋を駆け回り、じゃれ合ったりしていたのですが、私は、これは現実なのか?夢なのか?分けられない感覚に陥っていました。

私は顔をあげて、大きく深呼吸をして、強く強く自分に言い聞かせました。
私の子供達は生きている、私は助かった、子供達も助かったと、何度も心に言い聞かせました。

震災から2ヶ月。自宅に戻れば各々の家が泥瓦礫を外に出した様子以外、全く手付かずの状態です。悪臭が鼻を尽き粉塵に目眩を催します。避難先に帰ると自分の体に異臭が漂い、蝿がへばり付いでくるのです。

私達は未だ被災している。大袈裟ではありません。素直に、そう嘆きたい気持ちでいっぱいです。住む場所があって生活習慣を取り戻していても、未だ恐怖と共に暮らす子供達も居ます。落ち着いて暮らせる場所と時間が1日でも早く訪れますように。


この時間は無駄にはさせない!

2011年6月11日

義兄宅での生活が始まり1ヵ月が過ぎ、今週から子供達を連れて、この地域の子育て支援センターに通っています。長い坂道を何度も超えて 30分以上かかるのですが、子供達は毎日通うのを楽しみにしています。

平日は出入り自由のスペースですので、就園前の乳幼児と一緒に遊ぶことができます。就学前の娘には、ちょっとだけ不満があるかとは思いますが、居候先で部屋に籠って遊ぶ姿と比べれば、断然 笑顔に彩りが感じられます。

保育所が併設されているので、同年齢のお友達と遊具を共有することができます。初日は園庭で遊ぶお友達の姿を娘はじーっと眺めるだけでした。翌日からは、走って向かうようになり、ほんの一瞬ですが、お友達と交わることができました。忘れていた感覚を少しずつ、取り戻していたのかもしれません。

集団活動をきちんと体験させてあげなくてはならない年齢でありながら、もう3ヵ月も幼稚園を休ませてしまっています。通っていた幼稚園では、季節行事や体育行事がはじまりました。

親としては、ますます焦りを感じてしまいます。 言い訳になってしまいますが…私はこの時間を絶対に無駄にはさせません!いつか、幼稚園に通う事ができなかったこの時間を振り返りながら、これ皆で過ごすことの素晴らしさを伝えていこう、娘と一緒に感じていこうと思います。

地震や津波が物凄く恐ろしかったこと、大事な家族やお友達を失ったこと、大切にしていたお家や玩具がメチャクチャになったこと。お家の中が臭すぎて大泣きしちゃったこと、壊れたお家が風で揺れ動いて泣き叫んだこと。避難所でたくさんの人に助けられたこと、ボランティアさんにお家を綺麗にしてもらったこと。
幼稚園にずっと行けなくて毎日毎日つまらなかったこと…。

全ての記憶をこの子達の一部として活かしてあげようと思います。
今日で震災から3か月が経ちます。


「卒哭忌」

2011年6月20日

「卒哭忌(そつこくき)」

東日本大震災から100日。石巻市主催の合同慰霊祭もこの日でしたが、私たち家族は義父のお骨を預かって頂いているお寺での 慰霊祭に参列してきました。

参列した遺族は、四十九日法要の倍以上にみえました。あれから更に50日が過ぎ、行方不明になっていた方が ご家族の元に戻られたのでしょうね。

ちょうど百か日の3日程前に、義母方の親類も家族の元に帰ることができました。家族が迎えに行った時には、身に着けていた衣類が綺麗に洗濯されていて、お骨の傍に並べられていたそうです。

まだまだ辛い現実が続いています。それでも百か日を迎えました。 この日は別名、「卒哭忌(そつこくき)」とも呼ばれているそうです。故人を失ったことから、悲しみ泣き明かした日々に一度気持ちの整理をし、悲しみから卒業しましょうという意味が込められているそうです。

「二度と戻らぬ故人を傍に感じ、今日の他愛もない出来事を語り、そして思い合いましょう」 …途中、涙で声を詰まらせたご住職さまの言葉が心に残っています。

百か日の翌日。10名のボランティアさんと、義両親宅の泥かきをしてきました。震災以来、少しずつ大きな瓦礫を隅に寄せていたのですが、足を踏み入れる余裕がなかなか現れず、部屋の中まで掃除できずにいました。

まる1日の作業でだいぶ綺麗になりましたが、義父がみたらきっと納得がいかず、ボランティアさんが帰った後もせっせと泥をかぶっていたはず?です。

腰を曲げて 庭をあちこち動き回り 脚立を抱えて 次から次へと作業をこなし あっという間に屋根に登って私達を見下ろしている義父 ああ、今にも目に浮かんでくるようです。(上の写真は百か日の帰り道に撮影しました)。


4ヶ月目は新たな気持ちで

2011年7月9日

被災間もない頃は、TVに映る被災地の状況や被災者の声に自分の状況を重ね合わせてしまいがちでした。

震災から4ヶ月が経った今は、自分達には何が不足していて、自分達には何が満たされいるか、テレビに映る被災地の様子と自分を分けて考えられるようになりました。

明日の目標や優先順位をたてられるようになり、漠然とした不安は殆どなくなったのかもしれません。

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